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心奮える物語  

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私が生涯読むであろう漫画の中で、たぶん最高の愛の物語。そう断言できる漫画に出会いました。
惣領冬実先生は学生の頃から知っていました。
母の影響でボーイフレンドを読んで以来、こんなに面白い少女漫画を描く人がいるのかとずっと記憶に残っておりました。
しかし、機会がなくMARSを読むことはこの歳までありませんでした。
それが間違いだったと今確信しております。
こんなにも素晴らしい漫画があると知らずに生きてきた事は私にとってマイナスであったと切に思います。

MARSは一言で言えば運命に出会う物語だと思います。
それが異性であったり、家族であったり、過去であったり、生きるということであったり。
そしてその運命が最終的に求めるのは、戦うこと。
軍神MARSの表題が示す通り、命の限り戦い抜くこと。その難しさと素晴らしさを見事なまでに描き切っています。

軽く内容に触れるならば、目立たないクラスでも孤立しがちな女子高生、麻生キラと、ハンサムだけど女癖が悪くクラスの中心人物である樫野零が出会い、急速にお互いに惹かれあっていくという、いかにもな王道少女漫画です。
しかし、それだけで終わらないのが惣領先生の魅力です。恋人になることなどただの通過点に過ぎません。二人の前に訪れる様々な難題。内在的に存在していた自分自身の歪み。一筋縄ではいかない家族との軋轢。諦めきれない夢。本当に様々な要素が複雑に絡み合い、時には障害として二人の前に立ち塞がります。簡単には解決しない問題も多いです。それでも生きている限り戦うことを止められない人間の苦悩と覚悟、そして愛が詰まっています。
本当に下手な文学作品など目ではないくらい、見事なストーリーラインで、登場人物たちの等身大の人生を描いています。

全編を通して特筆すべきは惣領先生の感情表現と心の機微の見事な描写です。
感情表現の自然さ、台詞の小気味良さは漫画という枠を超えてすべての分野に通じる何かがあると思います。
無駄が無く、なのに情感たっぷりで、本当に洗練されています。
それが複雑で見事なストーリーとマッチして、とても奥深い作品になるのだと何回も読み直して思い知らされました。

他にも色々と書きたいことはあるのですが、無粋になりそうなのでここら辺で止めておきます。

惣領先生は今成人誌で連載をされていますが、もう一度少女漫画も描いてくれないだろうかと、心から思います。
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